「深海魚の出現は地震の前兆」を迷信と断定
東海大学海洋研究所(所在地:静岡市清水区折戸)の織原義明特任准教授?長尾年恭教授(同研究所所長)?野田洋一研究員と、本学グローバル地域センター地震予知部門の鴨川仁特任准教授は、深海魚の出現と地震との関連性を統計的に検証し、深海魚出現がその近傍での大地震発生に必ずしも結びついていないことを明らかにしました。なお、この調査をまとめた論文が、6月18日付のアメリカ地震学会の学会誌『Bulletin of the Seismological Society of America』(DOI:10.1785/0120190014)に掲載されました。
本研究成果のポイント
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研究の背景
国内での「深海魚が出現すると地震が発生する」といった旨の言い伝えを調べると、1743年の『諸国里人談(ショコクリジンダン)』まで遡ることができます。当研究グループは、この言い伝えが事実であれば深海魚の出現は防災にとって有益な情報になり得る可能性があるとの仮説のもと、本研究を開始しました。
調査方法と研究成果
深海魚の漂着や捕獲に関しては、過去にも複数の学術文献があります。しかし、これらはどれも地域や期間が限定的なものでした。そこで、これらの学術文献に加え、全国の水族館が公開している情報、さらには、深海魚の出現を各地方紙が取り上げることが多いことから、全国の地方紙や全国紙の地方版に掲載された記事を収集し、「深海魚出現カタログ」を作成しました。
その上で今回、「リュウグウノツカイ」や「サケガシラ」など地震前兆の深海魚と言われている8魚種に絞って調査を実施。その結果、1928年11月26日から2011年3月11日までに336件の漂着や捕獲の事例を確認しました。さらに、それぞれの深海魚出現日から30日後までに、出現場所から半径100km以内に発生した「マグニチュード(M)6.0以上」の地震を調べたところ、深海魚出現後に地震があったケースは2007年7月16日の新潟県中越沖地震(M6.8)のみでした。
当研究グループは、これらの調査結果から、「深海魚出現は地震の前触れ」といった伝承は迷信と考えられると結論づけました。
その上で今回、「リュウグウノツカイ」や「サケガシラ」など地震前兆の深海魚と言われている8魚種に絞って調査を実施。その結果、1928年11月26日から2011年3月11日までに336件の漂着や捕獲の事例を確認しました。さらに、それぞれの深海魚出現日から30日後までに、出現場所から半径100km以内に発生した「マグニチュード(M)6.0以上」の地震を調べたところ、深海魚出現後に地震があったケースは2007年7月16日の新潟県中越沖地震(M6.8)のみでした。
当研究グループは、これらの調査結果から、「深海魚出現は地震の前触れ」といった伝承は迷信と考えられると結論づけました。
論文タイトル | Is Japanese Folklore Concerning Deep‐Sea Fish Appearance a Real Precursor of Earthquakes? |
著者 | Yoshiaki Orihara; Masashi Kamogawa; Yoichi Noda; Toshiyasu Nagao |
掲載誌 | 『Bulletin of the Seismological Society of America』(DOI:10.1785/0120190014)(外部サイトへリンク) |
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静岡県立大学 グローバル地域センター
〒420-0839 静岡県静岡市葵区鷹匠3-6-1
E-mail:glc@u-shizuoka-ken.ac.jp
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(2019年6月26日)